バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (1)
井上 雄彦 /吉川 英治
講談社 刊
発売日 1999-03
お通さんはこっちの方が普通さん? 2007-01-17
自分は吉川英治の「宮本武蔵」が大好きでこの「バガボンド」に興味を持ったんですが、一言で評価するなら「原作とはいい意味で別物」ってところでしょうか。
普通原作モノは原作それ自体と漫画が比較されがちでどっちかの優劣を論ずることがまま見られるんですが(自分もそういう観念の持ち主です)、これは原作を「宮本武蔵」と記載していますが、原作の宮本武蔵と人格が違うように見えてそういう愚劣な比較はしないですんでるような気がします。
「バガボンド」の武蔵は基本的に普通人の感性ではとても理解できない異常人で(武蔵自身もそれを自覚している)、大衆の価値観と自分の価値観の違いに葛藤しながらも己の決めた大衆には決して理解できない道を歩む危険人物(あくまで普通人にとって)です。
「宮本武蔵」の武蔵は基本的に江戸初期によくいた剣によって自分を磨き、それによって立身出世、または悟りを開くこと(こっちは結構マイナー派)を生きがいとする武人ってとこでしょうか。作品自体が戦中に書かれたこともありやはりちょっと固い話で、あまり武蔵にリアリズムは感じられません(それでも面白くて魅力的なのには変わりありませんが)。
「バガボンド」ではお通さんの扱いも大いに違いますね。まずお通さんは原作ほど「武蔵ストーカー」ではないということ。確かに武蔵を追って旅をしていますがそれは「恋心」とかそういうものでがなく「アイツ今頃何やってんのかな~。」って感じで武蔵に会ってそれで愛の告白したいとかそういうことではないようです。まあ携帯もないし、自分もヒマだし特にやりたいこともないし、なら親しくそしてちょっと放っておけない幼馴染の動向でも追ってみようかっていう感じのような気がします。そういう意味じゃお通さんは結構現代的価値観からすれば「普通」かな~。
又八は原作以上にダメダメ。クラスにひとりはこんな駄目なヤツいるってくらい落ちこぼれですね。でも他人とは思えないところもあるかも!
まあともかく面白いことに変わりはないかな~。

